展示ガイド

屏風というモジュール

屏風の単位

屏風の比率

今回展示している作品は、全てこれら屏風のモジュールや比率を考慮して制作しています。
一枚の絵にみえる作品が多くありますが、全ての作品が、屏風を構成する一枚のパネル「一扇」として描かれています。

屏風を解体して掛け軸にするというような方法は昔から行われていました。

屏風という景

屏風は日本の伝統的なパーティション。
しかし、ただ空間を仕切るとか、隙間風を防ぐという機能以外に、重要な意味があると思います。

屏風は2対1の比率で設計されるのが一般的です。屏風はペアで使用する事が本来の姿で、これを「一双」という単位でよびます。

今回の屏風の作品「ロビー・Hotel GIRAFFE」と「赤いソファ・The red sofa」は一双の作品として作られています。

屏風に絵を描くことによって得られる不思議な効果のいくつかを紹介します。

1)屏風を開く
屏風を開くプロセスを経験した人は多くはないと思います。屏風が閉じた状態からゆっくり開いて行くと、空間が変化する事を感じる事ができます。2対1の横長の画面は、視野の多くを占めることになります。
屏風に描かれた世界がそこに風景として立ち現れます。それにより、屏風が開く前の空間とは別の場所にあなたを連れて行ってくれるでしょう。

2)平面だけれど立体的なジグザグの構造
一般的な絵画は平面に描かれるものでした。屏風も平面に描かれていますが、これを自立させるためにジグザグに配置します。これにより、屏風を一枚の絵として正対して全てを見る事ができなくなります。
見る角度で屏風の絵は変容し、ある種の揺らぎを感じることになります。平面に描かれているのに立体を感じたり、静止しているはずなのに、動いて感じるシーンもあるかもしれません。ぜひ意識を集中してこの感覚を味ってください。

3)伝統的なVRあるいはAR※1
屏風は空間を変容させたり、あなたの感覚の中で、絵を動的にさせる機能があります。ぜひ視線の高さ、向きを意識的に変えてみてください。
これは現代においてARやVRと呼ばれるテクノロジーの力で実現してい現象を先取りしたものであると私は考えています。日本には古来から「おもてなし」と言う文化があります。友人や客を招く際、ぜひ屏風を開いてみてください。その客間はリアルな空間ではありますが、どんな風景の中で友人や客人を迎えるのか?をあなたが選ぶことができます。その空間に訪れた人にどのようなエモーションが発生するのかを感じてみてください。

※1
仮想現実(virtual reality、バーチャルリアリティ、VR)
拡張現実(Augmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ、AR)

UENO

東京にある街「上野」。
かつては東北、北陸の窓口として栄えた街。もちろん今でもそうではあるが、いまや世界中の人々が集まってきている。日本人が少ないくらいに。そこですれ違った人々を絵にした「UENO」シリーズ。この絵は将来何かの形に変容しそうな気がする。

1面
size:H100×W100×D36
price:¥5,400(税込)

hoof

hoofと言うシューズメーカーが作品の中で偶然に生まれた。作品の中の登場人物が先の膨れ上がった靴を履いていたのだ。
その靴を履いている一人が、二足歩行をしているトナカイ。なんで先が膨れ上がっていたのかがその時わかった。彼らはヒヅメを保護している。
有蹄類の足の力はものすごい。パワフルだ。それにあやかってhoof(ヒヅメ)と言うブランドが生まれた。
有蹄類の方々以外でもお使いいただけます。もちろん人間も。

1面
size:H100×W100×D36
price:¥5,400(税込)

阿吽 / a-un

狛犬は神社の入り口を護っている。
片方は口を開き、もう一方は口を紡ぐ。
チベット仏教では「a」と言う発音と共に世界が開き「un」と言う音と共に世界が閉じる。と言う意味の思考儀礼があると聞いたことがある。アとウンと言う音が世界全体を示すと言うことだ。それがなぜ全国の神社に配置されているかは知らないが、それはきっと「素敵な表現」だと昔の人が思ったので形にしたのだろう。

1面
size:H200×W200
price:¥9,000(税込)