展示ガイド

音楽の器 / Musicians

音楽を作り出すのは人である。
あるいは音を音楽であると認識するのが人なのかもしれない。絵画には音は描かれていないが、その静寂な風景に耳を澄ますとあなたの音があなたに聴こえて来るかも知れない。それが音楽の器である。

1面
size:H900×W300
price:¥80,000(税込)

割り切れぬ記憶

天灯鬼、竜灯鬼という対の彫刻が日本にはある。仏の足元を照らす灯篭を1000年以上担いでいる。こうした仏の眷属のいくつかは、かつて仏教とヒンドゥー教などその他の宗教との軋轢や習合の際、象徴的に仏教に取り入れられたと考えられている。いわば敗者として従わせられていると言っても良い存在である。

ただこの彫刻には力強い生命力に満ちている。生き生きと、でもそことなく哀愁すら漂っているその姿はツノが生えて居ようと、牙が飛び出て居ようとそこに立っているひとのようだ。

それら眷属がどういう想いで1000年に渡る苦役を耐えているのか?そこに何を抱えているのか?
この絵で担いでいるのは「素数」。
割り切れない数字を担いでいる彼らはどんな想いと記憶を持っているのだろうか?

1面
size:H400×W200
price:¥23,000(税込)

18時の音楽浴 / music at 18:00

日本のSFの父と言われる海野十三。
彼の作品「十八時の音楽浴」というタイトルにインスパイアされて描きました。未来、ある種の洗脳の手段として使われた「音楽」。人工知能を持ったアンドロイド。開発している博士は人なのか?それとも人工知能なのか?
第二次世界大戦直後に描かれたディストピア。彼の作品のタイトルは時々、詩的に感じる。
何人かの登場人物を描いた一蓮の作品。科学者、為政者、おそらく人造人間などなど、そこに息づいているだろうか?

1面
size:H600×W200
price:¥36,000(税込)

アニマ / anima

日本には明確な宗教がないと言われることがあります。それには様々な原因が考えられますが、その一つに古代アニミズムの思想があると考えています。八百万の神という言葉があり、様々な自然や人間が作り出したものも含め、全てに神が宿っているという考え方です。

日本には古くから神道と仏教の二つの宗教の流れがあり、そこには動物神の姿も描かれてきました。日本のマンガやアニメにも擬人化されたキャラクターが数多く存在するのも、この文化の背景が関係していると思います。

ここに描かれている動物たちの目は人の目です。これは人格の象徴として描かれていると受け止めてもらっても良いですが、日本人が動物の人格をどう受け止めているかの事例として感じ方を確認してみてください。

1面
size:H600×W200
price:¥36,000(税込)

赤いソファ / red sofa

「赤いソファ」は「ロビー」の反転した世界として描かれています。我々は他人が世界をどう見ているかを知ることができません。同じ人物と会っていても、その感じ方はおそらく一緒では無いはずです。
同じ世界が人によって、またタイミングによって劇的に変化すると言ういつもは意識しない事実を表現しています。

空間の揺らぎ、意識の揺らぎを感じていただければ幸いです。

size:H1390×W2740
price:¥1,250,000(税込)
屏風仕立